コピーライターくりもとの【ひみつNOTE】

もうすぐ2012年、ガイア・アセンションまっただなかへ──。今の内・お熱い内に、手の内・胸の内を明かします。
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【輝く荒川静香】
鶴田一郎作品例



無垢な金メダル。



AP通信は「彼女は氷上のエレガンス(気品)。スパイラルは極上で、スケーティングは荘厳だった」と、成熟した女性の美を最上級の表現で讃えた。

その、エレガンスの片鱗は、荒川静香選手の出番、冒頭の一瞬に垣間見えた。

21番目、荒川静香選手がリンクに滑り出てきた。中央のトリノロゴのあたりにゆっくりと静止した。NHK-BSハイビジョンテレビの画面は、静止した荒川選手の横顔をフル画面で映し出した。時間にして1秒か2秒のことだ。切れ長で、凛とつり上がり、伏目がちなまなざしが、氷上のとある一点に注がれていた。まるで座禅を組む高僧の目のようだった。

直前に滑り、転倒しながらも高得点を挙げたコーエン選手の成績にプレッシャーを感じているのか、いないのか。五輪最大の華、世界中が注目する競技の、この会場の高揚した雰囲気に、心を乱されているのか、いないのか。胸中をうかがい知ることはできない。


ただ、テレビ画面に映った横顔の、なかでも目の表情が、「動揺」ではなく「静」を物語っているようではあった。'87から'97まで、ノエビアのCM、“コスメティック ルネッサンスシリーズ”でイラストレーター鶴田一郎氏が書いてきた美人画を、あなたはご記憶だろうか。この、美人画にも似た、静謐、落ち着き、気品が、競技開始の「トゥーランドット」が流れ始めるまでの一瞬に、凝縮されていた。

「いい顔をしている」。ぼくはそう思った。

競技は、滑り始める前から、始まっている。そして、滑り始めるまでに、なにを考え、なにを見つめ、なにを練習してきたかが、見えない糸となってつながっている。





荒川選手の発言を、時をさかのぼって、プレイバックしてみよう。

■常に心がけているのは、流れのあるジャンプ。見栄えもいいですし、プログラム全体の流れもよくなります。<2005年10月14日>

■心打たれればスタンディングオベーションが起こります。滑っていても、「あ、来るな」というのがわかるんです。そうすると、自分でも鳥肌が立ちます。最近では優勝した04年の世界選手権(独・ドルトムント)がそうでした。今季のこれからの試合でも、そんな演技が一試合でも多くできるよう望みます。<2005年11月18日>

■99年の第67回大会以来、優勝からは遠ざかっています。いまは勝ちたい、というよりも自分の一番いい演技をしたいという気持ちが強いです。
 緊張はすると思います。何もおそれずに滑れたら、それが一番ですが、きっと難しいでしょう。ただ、生き生きとした顔で滑りたい。いい緊張感の中で滑りたい。それだけを考えています。 <2005年12月16日>

■五輪まで約1カ月。スケート人生の集大成になるような演技が出来ればと思っています。プログラムも含めて自分の最高のものに仕上げていきたい。もちろん勝負事なので、ポイントを取れるものにしなくてはいけませんが、そんな中でもやはり、自分が滑っていて気持ちが良く、そして得意とするものを存分に取り入れていきたい。<2006年01月13日>

■(練習中に肩を外しましたが)私は変にプラス思考なので、そういうときこそ慎重にできると思いました。<2006年02月22日>

そして、五輪本番。ショートプログラムを終えて。

■(フリーは)余計なことを考えずに、本来の力を出せるように、欲を出さずに楽しく滑りたい。日の丸の多さにはビックリしました。うれしく思います。世界選手権のときとは、まったく状況が違います。あのときは無欲。注目されていなかったですし。今は、自分の立場を考えなきゃいけないし。なるべく無欲で行きたいんですけど。<2006年02月22日>





今大会、トリノ五輪での日本人選手は、おしなべて期待外れだった。メダル獲得者、ゼロ!メダル候補ともてはやされた、若い選手の中には、競技前に大口をたたいたコメントをしている人もいた。そのような人ほど、転倒後、あからさまに悔しがったりしていた。立とうとしないまま滑り落ちたりする人もいた。その度になんだか「見てはならないものを見てしまった感」を、ずいぶん味合わされた。そして、成績以前に「見せてはならないものを見せてしまう」選手の「締まりのなさ」が、なんとも不甲斐ない印象、よどんだ陰鬱な空気を日本中にまき散らしていた。ただでさえ、世の中、くだらないニュースが多い中で…。

そんな体たらくだったから、女子フィギュアに対する期待の高さは、ただごとではなかった。トリノに別段関心のないぼくでさえ、ライブ中継に見入っていたほどだ。国民の期待は、視聴率以上に高かったはずである。





仮にメダルに手が届いた場合を考えてみる。

「日本を救った女性」と名誉を独占できるだろう。史上最大規模の日本選手団が不甲斐ないだけに、その名誉はより輝く。

下司な話だが五輪メダリストには、「ビッグマネー」への道も確約されているという。

まず、日本オリンピック委員会(JOC)による報奨金(金300万、銀200万、銅100万円)が出る。連盟からも報奨金が支給される。フィギュア三人娘は「JOCシンボルアスリート」制度の適用選手だから、CM出演が増えるとJOCからの年間協力費も増える。単独CM出演となれば、一気に数千万円単位での収入増につながる。

将来設計も描きやすい。フィギュア王国・米国での本格プロスケーターとしてのデビューも確実である。例えばカナダには「スターズ・オン・アイス」というアイスショーがあり、その出演者の多くは五輪メダリストによるプロ集団だ。花形スケーターの年収は1億円以上。(ちなみに、日本ツアーも行っており、1席が3万円近い高額にもかかわらず完売する人気ぶりだ)
JOCや連盟の幹部として厚遇される道も、もちろん開かれている。

こうした、ナマな話、欲目に直結する話がチラチラ脳裏をよぎると、平常心は千々にかき乱される。アスリートの敵は、自分の中の欲目との戦いでもある。





荒川選手はプッチーニのオペラ「トゥーランドット」のメロディーに乗り、軽やかに滑り出した。冒頭の3回転ルッツ−2回転ループのコンビネーション・ジャンプ。無難に決める。中盤以降、上体を弓なりに反らせて銀盤を横断するイナバウアー。そのあと矢継ぎ早に繰り出される3回転−2回転−2回転ジャンプ。流れるような美しさで着氷する。演技のどこを探しても、欲目から来るプレッシャーや、雑音に乱される動揺が見られない。

技を決めるたびに拍手がどんどん大きくなっていくのがテレビの音声でも伝わってくる。観衆の誰もが彼女の世界に引き込まれていく。そしてフィナーレ。グルグル回って、ピタッと止まる。

笑顔だ。
「いい顔をしている」。ぼくはまたしても、そう思った。

拍手が続く。称賛の叫び声が聞こえる。4分間の演技ですべてを出し切った荒川選手は満足そうに笑顔で手を振りながらリンクを滑っていく。お辞儀をしてスタンディングオベーションに応えている。




ふたたび、荒川選手のコメントから。

■信じられない。まさかメダルを取れるとは。ただ、びっくりです。(演技は)1つミスがあったけど、楽しく滑ることができた。8年ぶりの五輪で、雰囲気を味わえれば、いいなと思っていた。SPから結構冷静に臨めた。いまだに信じられない。たぶん日がたつにつれて実感できると思う。<2006年2月24日>

■まさかわたしが(メダルを)取れるとは思っていなくて、プレッシャーはなかった。こうしてメダルを手にして、それが日本の第1号になってよかった。ジャンプを心配したりせず、今ここで滑れることがスケート人生の集大成になるな、と不思議な感じがして滑っていた。本当に今、続けてきたことがよかったと思うし、続ける道をつくってくれた周りの人すべてに感謝したい。<2006年2月24日>

■「あそこに行ったな、あんな試合もあったな、という感じで。この試合がスケート人生の集大成と思った」。(演技中、過去の試合の場面が何度も脳裏をよぎったという) <2006年2月24日>





荒川選手のコメントをていねいに追っていくと、欲目やノイズに踊らされることのない「自分」があることがわかる。淡々と、スケーターとしての高みを目指していく、ひたむきな姿があることがよくわかる。

これだけ、注目が集まる一世一代の舞台で、彼女が成し遂げたものはじつは、ライバルとの競争で勝ち得た「金メダル」だけではなかった。

優勝を決めたあとのインタビューで「パーソナル・ベスト(自己最高記録)を2年ぶりに更新した」ということを、まるで人ごとのような冷静さで表現していたが、彼女が達成したのは自分にとっての金メダルなのだ。

荒川選手が演技後に示したガッツポーズや、はちきれそうな大きな口での「エ゛ーッ!?」という表情は、誰かに勝ったからではない、ということが、今までのコメントを辿っていくと分かってくる。彼女は、日本中が待望したメダルや、将来の成功を約束するメダル、ましてや名誉というものを追い求めたのではないのだ。

もっと別のもの。
荒川静香イナバウアー
点数にならない、スケーティングの美、そのもの。

それを求め、それが表現されたからこそ、ぼくらは早朝のテレビに、うるうるとなったりしたのだ。イナバウアーは得点には加算されない演技である。4分間という短い限られた時間内に、あえてその演技を見せることを決心し、流麗な気品のなかに成し遂げたことに、無垢なる美意識を感じ、ジーンとなったのだ。





ユ夕゛ヤ・フリー〆ーソン・イル三ナティが仕組んだ人間支配構造としての、国別対抗意識。強いもの、速いもの、美しいものを点数化し、人に序列をつけて支配するという構造形式。裏で何億という商業資本や権利権益が動く、資本支配構造。そのシンボルが五輪である。

だけど、それがどうしたっていうんだい?

あんたら暗黒のト力ゲ族が仕組んだ舞台で、じつは、無垢なるものがこんなにも光彩を放ってしまうというパラドックス。それを見られて、ぼくはなんだか、うれしかったです。





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こんにちわ♪ プレゼントの配送作業で大変なことになっている『Aliiy』編集部あいです[:ニコニコ:] 日本初の、フィギュアスケート金メダルが出ましたね[:!:] 荒川静香選手、おめでとうございますっ。 そして村主選手&安藤選手も、お疲れさまでした。 3人の笑顔
Aliiyブログ | 2006/02/27 8:19 PM
人気Blogランキングいつもワンクリックありがとうございます(^^ フィギュア 金の荒川、完ぺきな演技 各国メディアも賞賛 おめでとうございます(^^ もう日本勢はメダル無理かな? と思っていたところだったので 嬉しかったです(^^
インターネット時代の新・勉強法! | 2006/02/24 10:37 PM
やりました〜!荒川選手がフィギュアスケート日本人初となる金メダル獲得の快挙を達成しました!村主選手は4位と健闘しましたし、15位に終わった安藤選手は失敗はしましたが4回転に挑み16歳とは思えないチャレンジ精神を充分に魅せてくれたと思います。3選手の演
blueの気ままにテニスBLOG | 2006/02/24 10:35 PM
~タララリラ ラララ〜〜〜     タララリラ ラララ〜〜〜 朝からずっと鼻歌で〜すV(○⌒∇⌒○) ルンルン いやいや、よかったね〜荒川選手。 優雅でしなやかで落ち着いた演技は、まさに{/star/}「金メダル」の滑りでした。 何回見ても、うっとりするよ〜 本
今日も今日とて | 2006/02/24 8:53 PM